​ABOUT US

進化学はその総合的な性質ゆえ、遺伝学、発生学、形態学、生理学、生態学、古生物学などの分野と度重なる融合を行い、もはやひとりの人間がその全体像を俯瞰するのは非常に困難な学問へと変貌しつつあります。この学問は生物学が相手取るほぼすべての時間・空間スケールを対象としていますが、各階層間の対応関係は我々にとって非常に複雑で一筋縄には理解できそうもないことが明らかになっています。仮に恐竜のゲノムが解読されたとしても、その恐竜の姿かたちや生き様までは復元することは現状叶わぬことでしょう。生物にあらわれる各階層を貫く普遍性・一般性のある理論の不在が、そのまま分野間の断絶に繋がっているのかもしれません。その一方で、発生と進化という全く異なる時間スケールのダイナミクスの間に一種の平行関係を見出そうとする、いわば「古くて新しい問題」は近年ふたたび注目されつつあるように思われます。このような進化学の現状を鑑み、若手研究者間での異分野交流を通して新たな視点を生み出す機会をつくるため、この進化学若手の会は設立されました。この会が研究の現場に立つポスドクや大学院生だけでなく、学部生やアカデミア外で進化学に携わる方々も交え、荒削りながらも科学的思考に則った活発な議論の場になることを目指しています。本会への参加を通じて得られた洞察や人脈を生かし、それぞれの進化観の醸成、および自らのことばによる表現を可能にすることが我々の目的です。